「ドレミの歌」は世界中の誰もが知っている有名な歌ではないでしょうか。
1965年、映画「サウンド・オブ・ミュージック」で、主人公のお転婆の修道女見習いのマリアにジュリー・アンドリュースが扮していました。
彼女は、トラップ大佐の7人の子どもたちの家庭教師になります。
ある日、子どもたちに歌を基礎から教えるために歌うのが「ドレミの歌」です。実はこの歌の「歌詞」がとてつもなく「すごい」のです。
英詩に「韻」は不可欠なもの
ドレミの音階は英語にすると、DoーReーMiーFaーSoーLaーSi(=Ti)ーDo となります。
「ドレミの歌」は音階の発音をもとに、同じ発音の別の単語を使って詩にしています。
>Do Re Mi Fa So La Ti Do の音階に、それぞれ Doe(牝鹿)、Ray(光線)、Me(私)、Far(遠い)、Sew(縫う)、 La(ラ)、Tea(お茶) という単語を当てて、その単語を説明する形を取っています。
「Si」は「Ti」でもいいので、Tea という語を使っています。
Doe, a deer, a female deer,
Doe(牝鹿)はメスの鹿のことRay, a drop of golden sun,
Ray(光線)は太陽が落としてくれるものMe, a name I call myself,
Me(私)は私が自分のことを呼ぶときの名前Far, a long long way to run.,
Far(遠い)は走るべき長い道のりSew, a needle pulling thread,
Sew(縫う)は針が糸を引っ張ることLa, a note to follow So,
La(ラ)はソに続く音符Tea, a drink with jam and bread,
Tea(紅茶)はジャムを塗ったパンと一緒に飲む飲み物That will bring us back to Do,
そして、私たちをドに戻してくれるBy Oscar Hammerstein II
最初に、この歌詞の「韻」の部分を確認すると、
Ray, a drop of golden sun
Far, a long long way to run
Sew, a needle pulling thread
Tea, a drink with jam and bread
La, a note to follow So
That will bring us back to Do
この3箇所が「韻」を踏んでいますが、それぞれに「工夫」がしてあります。
「 sun 」に対して、
a long long way to ( )は、( )すべき「長い道のり」だから、walk でも run でも drive でもよさそうですが、「韻」を考えれば、絶対に「 run 」になります。
次に、
パンにバターを塗ったものを「bread and butter」といいます。当然、パンにジャムを塗ったものは「bread and jam」です。
ところが、Sew, a needle pulling threadと「韻」を踏ませるために、わざと逆にして jam and bread としています。
最後の
La, a note to follow So の「ラ」にたいしては言い換えの語がなかったために「ラ は ソ に続く音符」としました。
それが、ちょうど次の行の That will bring us back to Do 音階の「ド」と「ソ」が韻を踏んでいます。。
おそらく、That will bring us back to Do (「ド」に再び戻してくれる)という行を最初に思いついて、音階の中で唯一「韻」を踏んでいる「So=ソ」と「Do=ド」あえて使ったのではないでしょうか。(私の個人的な意見ですが・・・)
「英詩」というのは、「韻」を大切にするあまり、日本語に訳すと「え! なぜ?」と言いたくなるような単語が使われたりしますが、これも「英詩」の面白いところかもしれません。