毎日新聞の「人生案内」というコーナーに「ショック 師匠が不倫」という投稿がありました。

読者の「お悩み」相談に人生経験豊富な「識者」が答えるという、「人生相談」みたいなものです。

相談者は20代の女性で、「陶芸」の道を志し、現在の師匠に弟子入りして数年になるそうです。

彼女は現在も「見習い」中で、厳しさの中に優しさを持った「師匠」を彼女は尊敬しています。

 

ところが、

ふとしたことで、その師匠が別のお弟子さんと「不倫関係」であることを知ってしまったそうです。

師匠を尊敬していた彼女にとってはとてもショッキングな出来事であったのでしょう。

それ以来、彼女は師匠を見るたびに「嫌な」気分になり、「情けない」気持ちにになって苦しいそうです。

師匠の奥さんは「不倫」のことはまだ知らないらしく、奥さんを見るのもつらいらしい。

 

師匠の「不倫」なんて、彼女にとっては何の関係もないことでしょうが、とても尊敬している「師匠」の嫌な一面を見たことによるショックの相談に対して、私は痛いように彼女の気持ちが分かります。

この彼女の「悩み」に答えているのは、大分県の某大学の学長さんです。

人間は「立派な」存在と「そうでない」存在」があるそうです。

その学長さんは「人間は立派な存在ではない」そうで、例えるならば、人間は「西遊記の猪八戒」だそうです。

「好色で大食いで欲が深くて怠け者」ということです。

師匠もそういう人間だと割り切って、陶芸の指導だけ受ければいいのではないですか、というのが「回答」でした。

 

人間は猪八戒のようなものだ

あなたは、よくもまあ、人間を「ひとくくり」にすることができますねえ。一体、あなたは「何様」?

少なくとも「文学者」ではないでしょう?

この「相談者」の女性も猪八戒のように、「好色で大食いで欲が深くて怠け者」と言っているのですか?

 

あなたは陶芸を学びたいと考えている。そして、師匠はきちんと陶芸の指導をしてくれている。それで十分じゃないですか。あなたは陶芸の師匠に何を求めているのですか。

あなたは、相談者にこう答えていますが、どこかのおじさんが「陶芸教室」で生徒に教えているのとは訳が違うのですよ。

彼女はきちんと「弟子入り」したということは、「師匠」は責任持って「育てなければならない」子どもができたのと同じです。

子どもは親の行動や言葉を、目で見つめ、耳で聞いているものです。

 

ある分野で立派な人が、他の分野でも立派とは限りません。ピカソをはじめ、偉大な芸術家の中には愛人が何人もいたような人もたくさんいます。あなたは陶芸の師匠に、陶芸以外のことも含めて100%完全な人間であることを求めているのではありませんか。師匠に何を求めているのか、自身で問い直してみたらどうでしょう。求めるものが陶芸なら、割り切ってその技術を学ぶ。そして早く独り立ちしましょう。人間的尊敬を求めるなら、別の師匠を探すべきです。人生は「トレードオフ」ですから、二つから一つを選ばなければなりません。ただし、別の師匠が完全だという保証はどこにもありません。人間は猪八戒のような存在ですから。

これが、その学長の「答え」です。

もしもこれが相談者の女性の「求める回答」であったとすれば、確かに彼女も「猪八戒」でしょうね。

 

人間というのは、「西遊記」の孫悟空でもあるし、猪八戒でもある。
沙悟浄でもあるし、三蔵法師でもある。
みんな、「人間」の持つ特性を象徴している「キャラクター」なのです。

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